[ A R C T U R U S ]
       
  The Sham Mirrors  
  (2002, VOICES OF WONDER) 9.5
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待ちに待った4年ぶりのARCTURUSの新作…

‘地獄の仮面舞踏会’以後リミックスアルバム[Disguised Masters]をぽつんと出してから何のニュースもなくて活動が中止されたのか心配もしたが、去年末彼らの新作ニュースが入った。

メンバーはGarm、Knut、Sverd、Hellhammerの既存の4人と新しくギターを担当するDag F. Gravemが加勢、5人体制を維持しているしEMPERORのIhsahnもゲストミュージシャンとして参加している。

このアルバムは前作の[La Masquerade Infernale]の怪奇で劇的な要素とデビュー作の[Aspera Hiems Symfonia]のシンフォニックでプログレッシブ的な要素が適当に混ざっている。曲によってはこういった要素は著しく現われて怪奇で劇的な雰囲気が感じられる曲ではHellhammerのドラミングが炸裂したりGarmのボーカルの変化がひどくなったりする。反対にシンフォニックした雰囲気が感じられる曲ではSverdの幻想的なキーボードが優麗に流れくる。何回聴いただけは理解できないほど複雑でプログレッシブな展開を再び味わえる。

初めから彼ららしい雰囲気に宇宙的で機械的な雰囲気が加味されたり、Sverdのシンフォニックなキーボードが登場して[Aspera Hiems Symfonia]の雰囲気まで感じられる“Kinetic”、邪悪さは大分減ったがまだ深みと鋭さが感じられるGarmのボーカル、Sverdの幻想的なキーボード、中盤部に登場する朦朧な機械的な反復音、最後にKnutの素晴らしいなギターソロまで文句なしの“Nightmare Heaven”、[La Masquerade Infernale]の“Alone”のようにHellhammerの正確に爆裂するドラミングが満たされているシンフォニックなアップテンポの曲“Collapse Generation”、EMPEROR解散してから初めて登場するIhsahnのボーカルと幻想的なキーボード最高の“Radical Cut”など4年という空白はこのアルバムでなくなったと思う。素晴らしい。<2002/03/13>

       
  La Masquerade Infernale  
  (1997, MISANTHROPY RECORDS) 9.5
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デビューアルバム[Aspera Hiems Symfornia]でブラックメタルシーンに新鮮な衝撃を駆って来たスーパープロジェクトバンドARCTURUSの新作...

メンバーらの実力程優れた[Aspera Hiems Symfornia]での壮大な構成、幻想的なサウンドは彼らを一躍スターした。だから彼らの新作ニュースは当然マニアの期待を膨らませたに違いない。個人的に彼らの新作タイトルが[The Satanist]と聴いていたので前作より遥かに壮大で邪悪な雰囲気を予想していた。

しかし発表されたアルバムは'地獄の舞蹈会'[La Masquerade Infernale]というタイトルで先聴いた人によると'変だ'、'難しい'ということが多かった。

非常にシンフォニックで敍事的な雰囲気の前作に比べてニューアルバムはまるで一編のオペラは鑑賞している感じだ。外的に現われるメンバーらの写真から内的なサウンドまで前作とはまったく違う感じがした。このアルバムで感じることができる雰囲気は'怪奇'と'恐怖'である。敍情性を表現するために使われたキーボードが今度は陰鬱で恐ろしい雰囲気を作るために存在している。同時にテクノリズムまでも大胆に導入させた。また様々なボーカルパターンで複雑な構成をもっと複雑に誘導している。

前作に比べて確実に複雑で難しくなった構成で聴き手をはじめから困らせる"Master Of Disguise"、荘厳で弱々しい雰囲気をとてもよく現わした弦楽器のリードと後半部のギター、キーボードのソロが最高の"The Chaos Path"、このアルバムの最高白眉である"Ad Astra"、Hellhammerの怖くなるほど正確なブラストビートが衝撃を与える"Alone"など前作のように一回聴いただけで楽しめる曲はない。

難解なアルバムだ。しかし曲のあちこちに隠れているメロディーと優れた展開が楽しめるように分かってくると喜悦を感じることができるアルバムだ。

       
  Aspera Hiems Symfonia  
  (1994, MISANTHROPY RECORDS) 9.5
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MAYHEM, ULVERメンバーが結成したプロジェクトバンドであるこれARCTURUSは本当にブラックメタルだと言いにくい位に幻想的な演奏を聴かせている。

まず驚いたのは雄大壮厳で宇宙的なキーボードが前面に出ていて雰囲気で主導しているからだ。またギタードラムの演奏もCYNICの場合のようにテクニカルでボーカルパートも邪悪な悪魔の声からクリーン2重唱まで登場する。(ブラックメタル系のCYNICとも言えるだろう)

曲も幻想的な雰囲気から夢幻的な雰囲気までまで実に多様な雰囲気を作り出しているこのアルバムは幻想的なキーボードが圧巻である"To Thou Who Dwellest In The Night"、雄大壮厳なキーボード、敍情的なピアノ效果が調和して一編のオペラを見ているような感じがする"Whence & Whither Goest The Wind"、あまりも美しいメロディーが導入部からカノン形式で流れ出て全般にかけて雰囲気を主導する"Fall Of Man"など宇宙の誕生、そして人間の誕生を感じさせる。ブラックメタルの質を一段階引き上げた牽引役したアルバムで好まない人にも勧めたい。

covenant,   mayhem,   the kovenant,   troll,   ulver

C L O S E