[ T H E    K O V E N A N T ]
       
  S.E.T.I  
  (2003, NUCLEAR BLAST) 9.0
  unofficial homepage
 
3年ぶりの新作で通算4枚目のフルアルバム…

新作のニュースは随分前から聞いた。 [S.E.T.I.]というタイトルでデジタルサウンドが強化されるだろうというニュースもあった。しかし3年が過ぎてからやっと発売になった。その間、彼らが指を折るほど好きだった私は新作のタイトルだけでいろんな想像しながら3年を待つしかなかったのである。

今回のアルバムは一緒にツアーもしたインダストリアルバンドZEROMANCERのErik(Programming、Key)を(このアルバムでは‘Angel’という名前らしい)を迎えてデジタルサウンドを全幅的に補強した。同時に前作ではあまり感じることができなかった変則的なテンポチェンジや雰囲気の換気が著しく現われる実験的な構成が多くなった。明快だった前作の雰囲気が残っているが、惜しくもサンプリングやシンセサイザーの濫用でミドル/スローテンポの曲ではルージュな感じもする。Lex Iconのボーカルは平凡なクリーンボーカル([Musique]時のTHEATRE OF TRAGEDYのボーカルRaymondに似ている)に変わったしBlombergの軽快なドラミングの役割も大部減った。

軽快なリズムの上に置かれた節度のあるギターとキーボードの演奏が前作の雰囲気を感じさせる“Cybertrash”、シングルカットが予想されるほどに軽快なテンポのリズムセクションと調和するシンセサイザーの演奏/ソロが印象的な“Planet of the Apes”、微かに聴こえるクラシカルで奇怪なキーボードの演奏がパワフルなリズムセクションと妙なバランスを取っていて劇的な構成に至る“Acid Theatre”など実験的で多様なデジタルサウンドと效果が登場し、少しは散漫の感じもあるが個人的には待っていた涯に相当する満足を与えたアルバムだった。

このアルバム完成の後Blombergがバンドを去ったという。サウンドはとにかく彼がドラムスティックを握っているというその存在感だけでなんだか他のバンドとは違う信頼感があったのに...残念で仕方が無い。 <2003/03/13>

       
  Animatornic  
  (1999, NUCLEAR BLAST) 9.5
  official homepage
 
前作[Nexus Polaris]の成功で完全な位置付けをしたノルウェーシンフォニックブラックメタルバンドCOVENANTの変身作...

[Nexus Polaris]後Nagashがバンドの専念するためにDIMMU BORGIRを脱退するが、逆にSverd、 AstennuはCOVENANTを去った。またバンド名訴訟に巻き込まれてしまう。しかしバンドは新しい脱出口を捜し、これらの危機(?)を乗り越える。

まずバンド名をCOVENANTからTHE KOVENANTに変えると同時に残った3人のメンバーもそれぞれLex Icon(Nagash)、Rsy Coma(Blackheart)、Von Blomberg(Hellhammer)に変えて今まで見せてくれたサウンドとは全然違った新しい音楽を作り上げた。

エレクトロニクスの效果がテクノやディスコのリズムを連想させるようなハイテンポの規則的なリズムを作り出した。このサウンドがアルバム構成に重要な位置を占めながらこんな位置は"Mirror's Paradise"、"New World Order"、"Jihad"、"In The Name Of Future"そしてBABYLON ZOOの原曲である"Spaceman"みたいな曲で強い印象を残している。キーボード,シンセサイザーなどのデジタル楽器を使うにおいても初めだとは考えられないほどのうまく使っている。(これはボーナストラックの"New World Order"のキーボード抜きバージョンを聴けばすぐ分かる。)しかしこのようにアルバム全体がテクノの雰囲気だけ感じられることはない。インダストリアル系を連想させるシンプルでも力強いギターワークの"The Human Abstract"、"The Birth Of Tragedy"では楽しさとヘビーさを同時に楽しめるし、前作[Nexus Polaris]のシンフォニックブラックメタルの雰囲気を味わえる"Sindrom"、"Prophecies Of Fire"もある。

こんなにテクノが持つ楽しさからブラックメタルが持つ奇怪で邪悪な雰囲気まで多様に演出しているサウンド、その上のLex Iconの歪んだボーカル...これが多分新しく誕生したTHE KOVENANTの核だと思う。 本当に、アルバムを発表する度に全然違った雰囲気への変身する彼らの素晴らしさが感じられるアルバムだ。

carpe tenebrum (no review in this page),   covenant,   dimmu borgir,   mayhem,   troll
C L O S E